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鬼火へ
 

VITA  SODMITICUS (やぶちゃん仮題)   芥川龍之介

 

[やぶちゃん注:本篇は底本とした岩波版新全集第二十三巻(1993年山梨県立文学館刊の山梨県立文学館編「芥川龍之介資料集・図版2」の写真版を底本とするもの)では「SODOMYの発達」という新全集編者による仮題で掲載されているものであるが、先行する芥川龍之介の「VITA  SEXUALISの続篇として書かれたものであることは、その冒頭によって明らかである。「多少の粉飾を加へ」たという点では厳密な意味での続篇とは言えないとする向きもあろうが、私はもっとお洒落に「VITA  SODMITICUS」と仮題することとする(*)。漢字表記は葛巻義敏編「芥川龍之介未定稿集」所収の「VITA  SEXUALIS」や、その他の芥川作品を参考にして恣意的に正字に直した。底本にある原稿用紙の改頁記号は省略、「こ」を潰したような繰り返し記号は「々」に、「/\」の濁点付きは正字で表記した。但し、底本は行末に一字空けが来た場合に行頭に一字空けするのを嫌って(段落様に見えるからであろう)行っていないのではないかろうか、という新全集の校閲の不備を今回のテクスト作業で強く感じた(そう判断した部分は一字空けを実行した)。底本後記によれば、これは残された見発表資料の内、芥川龍之介の記したものの内、性発達史を主に集めたと思われる関係資料(ノート)があり、その中でも「淸」という人物を主人公とした連続性のある13枚を採用した旨、注記がある(これらの叙述は、そうでない未公開の芥川龍之介性発達史関係資料があるということを意味する)。『このノートは、冊子の形態を保って』おり、『一部欠損があり、判読不可能な箇所もあるが、一応完結した掌篇と読むことも出来る』とある。これにより、最後部に集中する「□」はあくまで写真版の判読不能に過ぎないことが分かる。
語注については、愚かな自動言語フィルターを配慮して別頁で用意した
 なお、検索その他でこの頁に来られた方の内、多少とも文学的学究に興味のある方は、上端の
HPトップ及び私のテクスト集のリンク先をまずは御覧頂いた上で再入場されたい。私が単なる卑猥なる趣味性向から本頁を翻刻しているのではないことを御理解頂いた上でお読み頂きたいからである。ただの猥褻趣味で、たまたま本頁に来てしまわれた方は、この頁もそして――私の総てのHPコンテンツもブログも――あなたとは全く無縁であるので、速やかに退場されたい。【2010年10月31日】]

 

VITA  SODMITICUS(*)

 

これはSODOMYの發達を書かうと思ふのである 自分自身の事實に多少の粉飾を加へるのが前のVITA  SEXUALISと達つてゐる點である HEROの名は「淸」とした 別に意味のある事でもない

 

淸が十一歳の時であつた

淸の友達に木村關雄と云ふ少年があつた 毛の薄い雀斑のある瘦せぎすなたちで笑ふと口もとが左へまがる癖があつたが淸とは誰よりも仲よくつきあつてゐたのである

時は春の中ばであつた學校の庭には海棠や木蓮が咲くし狹い他の水もどんよりと柔な藍色に濁つて何となく暖みのこもつた感じをあたへてゐる その春の日の午後に淸と木村とは掃除番で他の生徒が一時間體操をしてゐる間だけ教室にのつてはたきをかけたり塵を掃いたりする役になつてゐた

[やぶちゃん注:「教室にのつては」はママ。「教室にのこつては」の芥川の脱字であろう。フロイトなら鬼の首を取ったように指摘し、滔々と解説する『言い間違い』ではある。]

用がすむと二人は向きあつた机に腰をかけて一緒に教科書を見はじめたが木村ははじめから何となくそは/\して落つかないやうであつた 何かと云ふと淸の手をとつたり首をなでたりする 淸は格別氣にもとめなかつたが唯何となくそれが六月蠅かつたのでその都度に顏をしかめてとられた手をはなした 勿論教室の中には誰もゐない

隣の教室で讀本をよむ聲がするより外は何もきこえない 白い壁にさげられた時計の針はまだ十分すぎたばかりである 窓からは青くはれた空が見えてゐた

木村は幾度も居ずまひを直したり身體をゆすつたりした そして話のついでに淸の傍へよる そして 仕舞には淸の背から手をまはして丁度兩手で抱いたやうになる

と今度は顏は次第に近づけ始めた時々頰と頰とがふれる 木村は益々力をいれて抱くやうにする

時々話がきれると淸はそれをしほに木村の手をはなさうとしたけれども中々はなさないさうしてしばらくすると 「君 僕は君にLOVEしちやつた君はLOVEつて事をしつてるかい え」と云つた

淸は默つてゐた 知つてゐるやうな知つてゐないやうな事である

その中に木村は一さう力を入れて淸を自分の胸の方へひきよせたところが淸がそれを抗がうとして左の手を木村の膝へかけると手がすべつて木村の帶の下へさはつた そしてそこに袴の上から固いもののあるのを感じた さうすると木村は急に早口に「しやうよ ね いゝだらう ね いや え」ときいた 淸は何だかわからないので「何を」ときゝかへした 前にかき落したが淸は木村より二つ年下である

木村は默つて淸の袴の紐をといた その時淸は何かがかすかにわかつたやうな氣がした けれどもまだ淡い恐怖に似た感じがするだけで慥には何ともわからなかつた 木村は又自分の袴もとくとそこの土間に淸を押し仆した「およしよ およしつてば」「いゝぢやあないか ね いや? いゝだらう ね」木村は左の手で淸の肩を仰へて起きないやうにした そして右の手で自分の前をひろげると又淸の前もひろげた 二人ともSARMATAははいてゐなかつた

「およしよ 關さん およしつてば よう」淸は多少の羞恥を感じたのでかう云つた 木村は小さな聲で「いゝぢやあないか いゝぢやあないか」と何度も繰返した そうして自分のBOKKIしたINNKEIを淸のそれに力つよく押しつけた 淸のそれはBOKKIしてゐなかつた

淸は仰むいたまゝ自分のINNKEIに熱い固い木村のそれを幾度となく感じたのである

その中に木村は默つて前をあはせて袴の紐をしめた 淸も同じやうにした

木村は「誰にも云ふのはよし給へよ」と云つた 淸は好意を以てその注告を守つたほどまだ何にもしらなかつたのである

 

淸が中學の一年生になつた時の事である 二級上に勝田と云ふ男がゐた 短い髯の生へかけた太つた男で色の黑い脂ぎつた體は柔道の上手なのを示してゐたこの男が何と云ふ事なく淸と親しくなつた

柔道の道場へゆくと親切に稽古をしてくれる 算術の宿題で六づかしいのがあると教へてくれる 學校から歸るときも亦一緒に歸つてくれるのである 所がある夜ふいに勝田が淸の家へさそひに來た 近所の大師樣の縁日へ行かうと云ふのである 淸はすぐに承知した さうして一緒に外へ出た

勝田は自分の腕と淸の腕と組んで歩いた この男とはいつもかうして歩くのである 縁日は一通りざつと見た けれども勝田はうちの方へ歩をむけない狹い通りを淋しい川岸の方へ歩いてゆく 「どこへゆくの」ときくと「まあこいよ」と大やうに答へる

その中に二人は石をつんであるところへ來た 大きな花山岡岩や安山岩が行儀よくつみかさねられてその間に又細い路がついてゐる この細い路へはいると勝田は立止つた 兩側とも石が可成高くつんであるから空が細長く見える その空には天の川が煙のやうに流れてゐた

勝田はぐつと力をいれて淸をひきよせると耳の近くヘ口をよせて「おいOKAMAをかせよ な いゝだらう」と云つた 淸は強い恐怖を感じた 色の白い顏を斜にふつて拒む意をしめした が實はOKAMAを借すと云ふことがどんな事だかよくわからなかつたのである 唯それが漠然と惡い事のやうに考へられたのである

 

勝田は上眼をつかつて「いゝだらう な かさなければ俺だつて考はあるんだぜ ないゝだらう」と繰返した さうしてその言が完る時にほもう左の手で淸の首から胸をさゝへながら右の手で裾をまくりかけたのである

淸は「よし給へよ 人が來るやうだから ね よし給へつてば」と低い聲で言つた 實際は人が來るやうな氣はいがなかつたのである 勝田は一寸手をとゞめて耳をすました そしてすぐ又淸の背中の上に掩いかゝるやうにして「な かせつて事よ」と云つた

「よし給へよ 僕はうちで叱られるから よし給へつてば ね」

「うちへは默つてるさ 誰にも知らさなければいゝぢやあないか」

「だつて」

「默つてりやあいゝだらう」すぐ勝田の手が動かうとする 淸はおいかけるやうに

「だけど僕はいやだもの」と云つた

「いやならいゝさ いゝけれども俺だつてさうなれば考へはあるぜ な だからかせよ だまつてりやあいゝぢやあないか な」

その中に勝田はもう淸の下ばきの紐をといた ずる/\とずるこけて落ちるネルの下ばきを淸は氣味わるく感じた まくられた腰から下がうすら寒い

淸は羞恥と恐怖で顏を赤めた 何だかすべてが夢の中の事のやうな氣がする

勝田の手がKOMONの上を何度もなでた さうするとそこが冷くなつた どうも洩れたらしい

すると勝田は自分の上半身の重量を淸の小さな躰の上に託して淸を下へ押しふせるやうにした 淸は中腰になつて丁度蛙を立てたやうな形になつた 其時勝田の左手は後からしつかりと淸をだきしめた

淸は直にKOMONSOMETHINGの觸れたのを感じた 觸れたばかりではない それが非常な力で内へ押し入れられるのを感じた

そして殆どそれと同時に勝田の右の手が淸のINKEIをとらへた手が巧にこくやうに動かされるとINNKEIに快い感じを以てBOKKIした淸はそのBOKKIしたのが何となく淺間しかつた

[やぶちゃん注:二箇所の「INKEI」「INNKEI」の綴りが異なるがママ。]

すると淸は可成な太さのものが可成の深さを以てKOMONにはいつたので一種の疼痛を感じた 最もそれより前に不氣味な感じは絶えず生じてゐたのである

「いたい」勝田は默つてゐる「あいた いたい」「がまんしろよ」笑をふくんだ勝田の聲がした その中に壓迫が減じたと思ふとすぐ勝田のINKElは淸のKOMONを離れた それから同じやうな事が二三度くりかへされた

さうしてやつと又下ばきの紐をむすんで元のやうに腕をくんであるき出すと 勝田は「ほかの奴にかしちやあいけないぜ え」と云つた 淸はだまつてうなづいた

其後勝田は淸を釣に誘つた そして又船の中でOKAMAをほつた 三度目には勝田のうちの二階で頭から毛布をかぶせてほつた

これまではいつも實行される迄に淸が多少の拒絶の意を示したのである けれども四度目に學校の便所のうしろでやられた時に淸はすぐ洋服のMぼたんをはづしたのである かうしてとう/\勝田のCHIGOになつたのである

 

淸が中學の三年生になると勝田はもう卒業した そして家事の都合で北海道へ行つてしまつた 淸は格別解放されたやうな氣も氣分にはなれた淋しい氣もしなかつた 彼は彼自身に起りつゝある生理的の變化から今はACTIVEに欲望をみたすべく熱中しつゝあつたのである

[やぶちゃん注:「解放されたやうな氣も氣分にはなれた淋しい氣もしなかつた」の部分は文脈がおかしいが、ママ。]

その時一級下に小泉晃と云ふ少年がゐた 人よりも背の低い勢のいゝ少年で頰が美しく紅い上に涼しい瞳が何となく人をひきつける そして人の話しをきくと學科もよく出來ると云ふ 淸はこの少年を對象にして自分の欲望をみたさうとした

人好のいゝ淸はすぐ小泉と交際しはじめた 更に二三度口をきく中に淸は小泉に自分のうちへ遊びに來いとすゝめた

小泉が淸のうちへ來たのは十月の夜である 廣い淸の家は靜にさゝやく檞の防風林で圍まれてゐた

淸の部屋は八疊の離れで父母の居間からは五間ばかり離れた廊下づたひである

淸はもう顏に面皰が出來てゐる聲もかはつたし 屢々勝田の手にふれたINNKEIもうすいKEで掩はれてゐる 小泉は少しもそんな事をしらないらしい 聲も鈴のやうにびゞく頰も肉づきがよくむつちりしてゐる 淸は幾度も小泉の白い細いINKEIを想像して樂んだ

二人は日がくれても本を見たり奬棊をさしたりして遊んだ その中に食事になる 食事がすむと下女が「御風呂を」と云つて來た

小泉は極まりを惡がつて「歸るよ僕は」を何度もくりかへした淸はその手を抑へて笑ひながら「どうしても歸さないよ 今日は君にお願ひがあるんだ」と云つた

それでもとう/\二人は湯にはいる事になつた 湯は厠に隣つた家内のものの居間からは最遠い所に當つてゐる

「では御ゆつくり」と下女が戸をしめて出て行つた後にはうすい湯煙の中に唯二人しかのこつてゐなかつた 衣をぬいでシヤツをぬいで下ばきをとると淸は手拭で自分のBOKKIしたINKEIを強く壓しながらさきへ湯槽へはいつた 小泉は桶へ湯をくんで體をしめしてゐる 色の白いむつちりと肥つた體が何とも云へずうれしく思はれる INNKEIも淸が想像した通りらしい

「君 僕は君に御願ひがあるんだぜ」と淸が口をきつた

「なに」涼しい眼を淸の方へむける

「御願ひさ」「だから何つてば」「まあおゆへはいりたまへ話すから」

小泉は湯へはいつた 湯桶は三人ほどはいれるが淸は體をよせてなるべく小泉と肌のふれるやうにした

「御願ひつてね」「あゝ」淸はふいに手をまはして湯の中で小泉の背へ手をかけながら耳のそばヘ口をよせてI LOVE YOUと云つた 小泉は笑ふのをやめた さうして下をむいた

「わかつた? え」「わからない」小さな聲で答へる 「僕のね」「あゝ」

「僕のねCIGOさんになり給へ ね いや」

小泉は淸の顏を見た淸の顏ははげしい欲望にみちて眼さへも水々しく輝いてゐた

これを恐れたと見えて小泉は默つて返事をしなかつた 「いや え いやだ?」

淸は小泉の體をゆすりながらきいた 小泉は默つてゐる けれども頰には笑がたゞよつてゐた「いゝだらう ねえ」「だつて」「だつて何に」淸はすつと手をのばして小泉のINKEIにふれやうとした

小泉はそれを股で防ぎながら「いや」と云つた

その中に小泉は立つて湯桶を出た そして手拭をしぼりながら「もう上らないか」と云つた 淸はその時まだ湯桶の中にゐたが 急に外へ出ると一緒に後をむけて立つてゐた小泉を背ごしにしつかりと抱いた そしてそこの流しの上へ抱きころばした セメントの流しは二人の肌に冷くふれたのである

「ああ」と小さな聲を出すのを「いゝね? そんなにいやなの?」と云つてとひけした 淸の胸は小泉の背にあつた 兩方の股は小泉の外股をはさんだ うす白い湯煙の底にまろんだ肉體はそのま屢く動かなかつた

湯にひたつた皮膚は滑でOKAMAをほるに便利であつた

小泉は二度「いたいよ」と云つた 淸は何度となくやつた白い青臭いSEMENは流しの上に流れた

そして又淸は小泉のINKEIを何度となくこすつた さうして遂にははげしい力でそれが跳躍するやうにした

湯から上つてから二人はすぐにわかれた その後二週間ばかりは小泉は始終淸をさけてゐたが 二週間目に再淸の居間で犯されてからは少しもいやがらずに淸にOKAMAをかしたさうして自分でも度々INKEIをこすつたのである

四年生から五年生になる時 淸はもう惡少年の群へはいつてゐた 同じクラスのものが六人で組織した流星義會の會員で相應に幅をきかせてゐたのである 勿論小泉一人だけではなく何人となく美少年を辱めた

云ふ事をきかないものははげしく迫害した それでも應じないものは大勢で手込にして辱めた

その一人に藤井彰と云ふ少年があつた おとなしい色の白い背の高い少年であつたが何と云つてもOKAMMAを貸さなかつた そこで淸は六人の友達の一緒に□球にかこつけて彰を淸の居間へつれこんだ その居間が流星義會築陣地でまた屢々美少年を辱めた場所である

七人は彰をまん中に圍んで手詰の談判をひらいた

「かせよ な おとなしくかした方がいゝぜ」

「俺たちが默つてりやあ誰も知らないですむことなんだ」

「何が嫌だつてんだ 心持が惡いから嫌だつてのか」

「一寸三十分や四十分位何でもないぢやあないか」

藤井は默つてゐる一人がその手をとりながら云つた

「さあかすと云へよ」

藤井はその手をふりはなすと急に立つて逃げやうとした

「どつこいしよ」

「逃げる氣だな」

「やつちまへ」

「抑へろ抑へろ」

七人は一時に藤井のまはりに群つた 淸は大きな靑毛布を敷いてその上へ大勢で藤井を押しふせた

藤井は逃げやうとあせつてゐる足をばた/\させたり手をはげしくふつたりすがとても七人には叶はない 三人が口と手を抑へるとあとの三人が足と腰とを抑へた 淸はすぐ藤井の紺しぼりの帶をといた

[やぶちゃん注:「ふつたりすが」はママ。]

優しい白い顏を羞恥と恐怖とで赤くしながら藤井はたへず身體を動かしてゐるが七人の力は優に之を抑へて餘りがあつた帶をとくと今度は單衣の前をまくつた

白い胸と腹が見える もう餘すのは黑い猿股一つである「はづせよ おい」「よし」淸は紐をといてずつと下へずるとかすと白い肉が柔く股に雜な所に細長い白いINKEIが温く露れた

「細根大根のやうだな」

皆くす/\と笑つた「さあやれ/\中村から先へやれ」

淸は「やるぞ」と云つた

そして他の六人が手と足をしつかり持つて仰むけに寐た藤井を横むきにすると淸は帶をといて横にぴつたりよりそひながら赤い廱いINNKEIに唾をつけてほつた

藤井の顏は幾度も苦痛と屈辱とになやましく見えた けれども淸がすむとあと六人は代る/\ほつた

靑毛布の上に裸のまゝ横はる藤井はまつ白な足をすくめたなり柔な背部は粘々したSEMENSにまみれて泣いてゐた

七人ともやつてしまふと漸手足をはなしたそして「もういゝから歸れ」云つた 藤井はその後三度そんな月にあつた そしてとうく流星義會の一人となつたのである

淸は何時までもこの不自然な交接に飽かずにはゐられなかつた そしてその飽きかけた心は偶然の動機で女色の方へ展開した その動機はかうである

學校のうしろに狹い明地があつてそこは三方がしもたやの黑塀で一方が學校の煉瓦塀になつてゐたが そこでも時々流星義團の會合がひらかれた そしてある時(春の末だつた)一年生の南と云ふ美少年をこゝへつれて來た 南の父と云ふのは學校の近く小さな煙草屋で南には三つばかり年上の姉があつた

南の色の白い背の低い痩せ形のおとなしい小供であつたが姉は色の淺黑いむつちりと小肥りに肥つた陽氣な口數の多い女で容貌は南ほど美しくはなかつたのである 南をこゝへつれて來たのはもとよりOKAMAをほるためで放課後用にかこつけて すぐ五六人でつれ出したのである

四時すぎの日の光にてらされた南はいつもより猶美しかつた黑いヘルの制服を着て新しい制帽をかぶつてゐる 淸は他の仲間と共に南の手をとつてOKAMAをかすことをせまつた そしてもしかさなければ皆でいぢめると云つておどした 南はすぐ泣き出した泣いてゐるだけでかすともかさすとも返事をしないのである 氣の早い仲間に目くばせをしながら 南の小さい體を抱いた そうしてMBOTANをはづしたズボンの下には綿ネルのズボン下がある淸はそれをはづさうとして手をいれた

その時仲間のものはかんたかい女の聲で驚かされた「何をするんですうちの弟を」

それは南の姉であつた銀杏返しに結つてつむぎの飛白の着物を着てゐる背は南より少し高い 皆驚いてとらへてゐた手をはなした 姉は南をかばびながらさまぐざまな事を云つた 皆それが惡口である 馬鹿書生だのごろつきだのと云ふ言もその中に交じってゐた 唯南をつれて歸つてしまへばそれで濟んだのであるがその惡口が一同の癪にさはつた

「生意氣な事を云ふな」と仲間の一人が云つた

「何が生意氣です 弱い者いぢめをする癖に」

「だまつてろい」

「だまりませんよ」

「だまつてなけりやあ きさまもほつちまうぞ」

「どうでも勝手にするがいゝ 何だ落第書生の癖に」

「勝手にしてやらあ」

仲間の一人は姉の手をとつた 顏をまつかにしてそれをふりはなさうとするのを又一人が他の手をとつた 南が急いで人をよびに行かうとするのは一人がすぐ抱きすくめた

「何をすんですつてば何をするのだよ 亂暴書生」

姉は手をおさへられながら叫んだ

「勝手にするのよ」淸はかう云ひながら姉の裾をまくつた 裾をまくつても下にはとき色の腰卷があつた

「あれえ」姉も身もだへをしてふりはなさうとする更に二人がその口と躰とを抑へた「勝手にするのよ なあざまあみろ 勝手にしてやらあ」淸はかう罵りながら腰卷の下から手を入れた 柔い内腿の肉が先手にふれた

「姉は腰をひいて防がうとする淸は左の手でしつかり帶をおさへながら右の手をなほのばした 指は柔い陰毛にふれた それから陰唇のふちが實に快よい觸覺をそゝつたのである

[やぶちゃん注:行頭の鍵括弧はママ。]

「皆で勝手にしてやれよ」淸の一語に他の仲間も代る代る姉の陰門を弄んだ 姉は顏を眞赤にして眼には涙をためてゐた そしてその間に南をだきすくめた一人はズボンを半分ぬがせてズボン下をまくつて柔なまつ白な腎部をあらはさせて 息をはづませながらほつてゐた

「さあもうかんにんしてやらあ」皆が手をはなしながらかう云つた

其後淸は縁日で南の姉にあつた すまして「いつかは失敬」と挨拶をすると「しりませんよ」と云つて横をむいた

淸は猶しつつこくつけまはしてとう/\二こと三こと話しをしたそして別れた 姉が縁日からうちへかへるのには暗い露路を三つ通らなければならぬ 淸はわかれてからも見えかくれにつけてゐたのである

そして姉がひとりでその露路の一つへはいつた時淸はいきなりうしろからだきついた 「あれ」と聲を出さうとするのを「僕だよ」と云ひながら益つよくだきしめた その時淸は快く髮の香をかいだのである

「何をするのよ よう」「何をしてもいゝぢやあないか 勝手にしろつて云つた癖に」

「まあ 御放しなさいよ 人がくるぢやありませんか」「うそをつけ」

淸を抱きすくめながらじつと下へ押しふせるやうに姉を横にした「あら危い□□ありませんか まあびどい あら聲を出してよ」淸は委細かまはず着物の前を□□つたそして「云ふとほりになるさ 萬更惡いことでもないぜ」と云つた

姉は何度も「お放しなさいつてば およしなさいつてば」とくりかへした それ□□□にげやうともしなかつた 淸は自分の前をひろげるとすぐ唾をつけた□□□□姉の前へいれた そしてしたのである