鬼火へ

能 道成寺 やぶちゃん編――台本形式―― 縦書版へ

[やぶちゃん注:本テクストは昭和六十一(一九八六)年新潮社刊「新潮日本古典集成 謡曲集 中」に所収する「道成寺」の本文パートを基礎底本(底本の親本は光悦謠本鴻山文庫本)とし、一部の解説注及び一九九二年平凡社刊「別冊太陽 道成寺」の増田正造氏の「道成寺」解説――平成四(一九九二)年三月二十日梅若能楽学院会館創立三十周年記念別会能の観世流梅若六郎所演「道成寺」中之段数拍子かずびょうしと特殊演出である崩之伝くずしのでん小言こごとに準ずるものの完全実演採録に基づくもの――をも参考にしてオモアイ等の一部の台詞を追加し(増田氏のものでは落鐘後の中入後に長い寺男の狂言が入るが、ここは底本を尊重して別頁とした)、最後に私のポリシーから本文漢字を総て正字に直したものである。底本には場面及びその他の解説が付されているが、編集権を侵さないよう、先に示したように実際の舞台での台詞の復元等のみの一部を参考にするに留めた。謠の部分は庵点を打ち、台詞と区別するために一字下げ斜体とした(地謠は六字下げ斜体。吟型の区別はしていない)。更に、「名ノリ」等の吟型の一部は、謡曲の定式に寄らず、台詞の一部として「 」で表示した。読みは底本の中で難読と思われるもののみを標記に従い、原則、ひらがなで採用した(底本ルビはカタカナ。但し、最後の呪文部分は雰囲気を出すためにカタカナとした)。ト書風に場面解説・役者の立ち位置(総てを示すと五月蠅くなるので、私にとって舞台の再現上必要なもののみに留めた)・音曲名称とその簡単な解説を〔 〕や【 】で示したが、これは底本よりも、上記「別冊太陽 道成寺」の増田正造氏の「道成寺」解説を主に参考にさせて頂いた。なお、本頁の台詞や謠いの字の配置は全く私のオリジナルである。場面の転換を示すために、底本にはない、私の独自の「❀」の記号を恣意的に配してある。このテクストは私の見知った、さまざまな道成寺伝説へのオマージュとして、凡百の観客の一人である私が舞台を再現した、甚だ手前勝手な特殊なテクストであって、正しい謡曲「道成寺」は正規の諸本に必ず拠られたい。
 本テクストは、私のブログの三十二万アクセス突破記念として――また、かつて私に、人生の中で稀有の、私自身が恍惚となって呼吸を忘れた数少ない舞台、金春流の「道成寺」を見せてくれた古き私の教え子杉崎知喜君への深い感謝の意を込めて――ここに公開するものである。【二〇一一年十月六日 藪野直史記】]


道成寺

   前シテ  白拍子
   後シテ  蛇体
   ワキ   道成寺住僧
   ワキツレ 従僧 二人
   アイ   能力のうりき 二人

   ❀

【オ調ベ】〔調弦。〕

   ❀

〔囃方四人(笛・小鼓・大鼓・太鼓)、橋ガカリに出る。〕
〔切戸より地謠出る。〕
〔鐘後見、笛柱(本舞台右奥角の柱)に出る。〕
〔狂言方後見、鐘を運び出し、一人が竹棹の先に綱の先端を挟み、本舞台天井の滑車に通す。別な一人が先に鉤の付いた竹棹でその綱を引っ掛けて、舞台まで降ろし、その先端を鐘主後見に渡す。〕
〔鐘主後見、笛柱の環に綱を通し、鐘を吊り上げる。〕

【名ノリ笛】
〔ワキ道成寺住僧、ワキツレ僧侶やアイ能力(寺男)を従えて入る。脇は中央に立ち、他は橋ガカリに控える。〕
ワキ
「これは紀州道成寺の住僧にて候 さても當寺においてさる子細有つて 久しく撞き鐘退轉仕りて候ふを このほど再興仕り鐘を鑄させて候 今日吉日きちにちにて候ふほどに 鐘の供養をいたさばやと存じ候」

   ❀

ワキ
「いかに能力」

オモアイ
「おん前に候」

ワキ
「はや鐘をば鐘樓しゆろおへ上げてあるか」

オモアイ
「さんぞおろおはや鐘樓へ上げて候御覽候へ」

ワキ
今日鐘の供養を致さうずるにてあるぞ さる子細ある間 女人禁制きんぜいにてあるぞ かまひて一人いちにんも入れ候ふな その分心得候へ」

オモアイ
「畏つて候」

   ❀

オモアイ
「皆々承り候へ 紀州道成寺において 鐘の供養の候間 志の方々は參られ候へ また 何と思し召し候御事やらん 供養のにはへ 女人かたく禁制と仰せ出だされて候間 構えへてその分心得候へ 相心得候へや」

   ❀

【ヒシギ】〔笛。〕
【習ノ次第】
〔おマーク。前シテ白拍子登場。〕

前シテ
〽作りし罪も消えぬべし
 作りし罪も消えぬべし
 鐘の供養に參らん

   ❀

前シテ
「これはこの國のかたはらに住む白拍子にて候」

前シテ
「さても道成寺と申すおん寺に 鐘の供養のおん入り候ふよし申し候ふほどに ただいま參らばやと思ひ候」

   ❀

前シテ
〽月は程なくいりしほの
 月は程なく入り汐の
 煙滿ち來る小松原
 いそぐ心かまだ暮れぬ
 ひたかのてらに着きにけり
 日高の寺に着きにけり

   ❀

オモアイ
「のうのう女人禁制にて候ふほどに 供養の場へは叶ひ候まじ急いで歸られ候へ」

前シテ
「これは此國の傍に住む白拍子にて候 鐘の供養にそと舞を舞ひ候ふべし 供養を拜ませて給はり候へ」

オモアイ
「これはまたただの女人には變はり申し候ふ間 そと人に尋ね申してみうずるにて候おん待ち候へ」

   ❀

オモアイ
「いかに御同宿ごどうしゆくちと物を申し候ふべし」

ワキツレ
「何ごとぞ」

オモアイ
「女人禁制と仰せられ候ほどに その分申し付け候ところに この國の傍の白拍子にて候ふが そと供養を拜ませてくれよ さあらば供養の舞を舞はふずるよし申し候ふが それのおん心得にてそとおん場へ入られ候へかし」

ワキツレ
「いやいや堅う禁制のよし仰せられ候ほどに それがしは存ずまじいにて候」

オモアイ
「あら曲もなやぞおろお

   ❀

オモアイ
「のうのうそと伺へ候へば なかなか女人は叶ふまじきよし仰せられ候へども 舞を面白うおん舞ひ候はば それがしが心得にて そと場へ入れ申さうずるにて候」

前シテ
「あら嬉しや 涯分がいぶん舞をまひ候ふべし」
〔観世流梅若六郎所演「道成寺」版では、前シテの「これは此國の傍に住む白拍子にて候 鐘の供養にそと舞を舞ひ候ふべし 供養を拜ませて給はり候へ」に対して、オモアイとワキツレの問答場面を一切挟まず、オモアイが独断で「さあらばそれがしが心得をもつて そと拜ませ申さうずる間 面白う舞をうて御見せ候へ」と述べて、直にこの前シテの「あら嬉しや 涯分舞をまひ候ふべし」繋がっている。〕
   ❀

〔【物着(ものぎ)】。〕
【物ノアシライ】〔笛・小鼓・大鼓。白拍子、折烏帽子を着け終えると、大鼓のみ。〕
〔鐘主後見、鐘の高さを下げる。〕
〔橋ガカリに出た白拍子、一の松から鐘に恨みの眼差しを送る。執心の目付。〕
【ヨセツヅケ】〔白拍子、激しい調べの大鼓に乗って舞台へ。〕
前シテ
「嬉しやさらば舞はんとて あれにまします宮人の 烏帽子を暫しかりに着て すでに拍子を進めけり」

前シテ
〽花のほかには松ばかり
 花のほかには松ばかり
 暮れ初めて鐘や響くらん

【乱拍子】〔小鼓と奏者の気合と長大な間の繰り返しの中、白拍子、極限の静止の足使いで舞う。〕
前シテ
道成の卿
 うけたまはり
 はじめて伽藍
 たちばなの
 道成興行の寺なればとて
 道成寺とは
 名づけたり
〔地謠〕〽や

〔地謠〕〽山寺のや

   ❀

【急ノ舞】〔一変して怒涛奔流、怨詛の舞。笛・小鼓・大鼓もあらん限りの演奏となる。〕
前シテ
〽春の夕ぐれ
 來てみれば
〔地謠〕〽入相の鐘に
     花ぞ散りける
     花ぞちりける
     花ぞ散りける

前シテ
〽さるほどにさるほどに
〔地謠〕〽寺々の鐘
     つき落ちとり鳴いて
     霜雪しもゆき天に
     みちじほほどなく
     ひたかの寺の
     江村こおそん漁火ぎよか
     愁ひに對して
     人々眠れば
     よきひまぞと
     立よおにて
     狙ひよりて
     撞かんとせしが
     思へばこの鐘
     恨めしやとて
     龍頭りうずに手をかけ
     飛ぶとぞ見えし
     引きかづきてぞ
     失せにける
〔【鐘入リ】その演出は流派により多様。私の見た金春流は、前シテ白拍子は脇正面(本舞台の九時位置)から斜めに鐘に迫って、扇で鐘の外側の縁を突いた後、一歩進んで跳び、同時にそこに鐘が落とされる。〕

   ❀   ❀   ❀〔中入〕

アドアイ
「世直し世直し」

オモアイ
「桑原桑原」

アドアイ
「いや地震でもなし また神鳴りでもないが 不審な事ではないか」

オモアイ
「さてさて膽がつぶれた まづ鐘樓も見舞はう」

   ❀

オモアイ
「これはいかなこと 鐘が落ちた」

アドアイ
「まことこれは不思議なことぢや」

オモアイ
「この由申し上げいではなるまい おぬし言はしませ」

アドアイ
「いやそちにこそ仰せ付けられてあれ おぬし言はしませ 卒爾そつじなふりをしておぬし言はしませ」

アドアイ
「知らぬぞ知らぬぞ」
〔オモアイを突き放して、橋ガカリを退場。〕

   ❀

オモアイ
「落ちてござある」

ワキ
「何が落ちてあるぞ」

オモアイ
「鐘樓より鐘が落ちてござある」

ワキ
「なにと鐘が落ちたると申すか」

オモアイ
「何事にても不審なる事はなく候ふが そのおん事にてござある この國の傍に住む白拍子にて候ふが 鐘の供養を拜ませてくれよと申すほどに 禁制のよし申してござあれば 鐘の供養に舞を舞うて見せうと申してござあるほどに 拜ませてござあるが これが不審にてござ候」

ワキ
「言語道斷かやうの儀を存じてこそ堅く女人禁制のよし申して候ふに 曲事にてある」

オモアイ
「はあーあ」

ワキ
「さりながら立越え見うずるにて候」

オモアイ
「急いでご覧候へ」

オモアイ
「あら助かりや助かりや」
〔オモアイ、橋ガカリを退場。なお、中入後、ここまでの段の長大な観世流梅若六郎所演「道成寺」版狂言パートは別頁に用意した。〕

   ❀   ❀   ❀

〔ワキ、ワキツレを連れ立って鐘を検分する。〕
ワキ
「なうなう皆々かう渡り候へ」

ワキ
「この鐘について女人禁制と申しつる謂はれの候ふをご存じ候ふか」

ワキツレ
「いやなにとも存ぜず候」

ワキ
「さらばその謂はれを語つて聞かせ申し候ふべし」

ワキツレ
「懇ろにおん物語り候へ」
〔ワキとワキツレ、脇座(本舞台の五時半位置)に立つ。〕

   ❀

〔語リ。ワキ、立ったまま。〕
ワキ
「昔この所にまなごの庄司と云ふ者あり 彼の者一人いちにんの息女を持つ またその頃奧より熊野へ參詣する山伏のありしが 庄司がもとを宿坊と定めいつも彼の所に來りぬ 庄司娘を寵愛の餘りに あの客僧こそ汝が妻よ夫よなんどと戲れしを をさな心にまことと思ひ年月ねんげつを送る。またある時かの客僧庄司がもとに來りしに 彼の女夜更け人靜まつて後 客僧の閨に行き いつまでわらはをばかくて置き給ふぞ 急ぎ迎へ給へと申ししかば 客僧大きに騒ぎ さあらぬよしにもてなし にまぎれ忍び出でこの寺に來たり ひらに賴むよし申ししかば 隱すべき所なければ 撞き鐘を下ろしそのうちにこの客僧を隱し置く さてかの女は山伏をのがすまじとて追つかくる 折節日高川ひたかがわの水もつてのほかに増さりしかば 川の上下かみしもをかなたこなたへ走り廻りしが 一念の毒蛇となつて 川を易々と泳ぎ越し この寺に來たりここかしこを尋ねしが 鐘のりたるを怪しめ 龍頭をくわへ七纏ひ纏ひ ほのおを出だし尾をもつて叩けば 鐘はすなはち湯となつて ついに山伏を取り畢んぬ なんぼう恐ろしき物語にて候ふぞ」

   ❀

ワキツレ
「言語道斷かかる恐ろしきおん物語こそ候はね」

ワキ「その時の女の執心殘つて またこの鐘に障碍しよおげをなすと存じ候 われ人の行功ぎよおこおもかやうのためにてこそ候へ 涯分祈つてこの鐘を再び鐘樓しゆろおへ上げうずるにて候」

ワキツレ
「尤もしかるべう候」
〔ワキとワキツレ、膝を突き、祈禱の用意をし、右手に数珠を持って、脇座から鐘に向かう。〕

   ❀

祝詞ノット】〔小鼓の拍を刻むような連打に笛・大鼓。〕
ワキ
〽水かへつてひたか川原がわら
眞砂の數は盡くるとも
行者の法力盡くべきかと

〔一同、数珠を手に合掌。〕

ワキツレ
〽みな一同に聲をあげ

ワキ
東方とおぼお降三世明王ごおざんぜみよおおお

ワキツレ
南方なんぼお軍荼利夜叉ぐんだりやしや明王

ワキ
西方さいほおに大威德明王

ワキツレ
北方ほつぽおに金剛夜叉明王

ワキ
〽中央に大日大聖だいにちだいせい不動
不動頭ふどうがしら】〔大鼓。〕

〔一同、数珠を専心に揉み、祈る。〕

〔地謠〕〽動くか動かぬかさつく
     なまく三曼陀縛曰羅南サマンダバサラダ
     旋多摩訶嚕遮那センダマカロシヤナ
     娑婆多耶吽多羅咜干※ソワタヤウンタラタカンマン
     聽我説者得大智惠チヨオガセツシヤトクダイチエ
     知我身者即身成佛チガシンシヤソクシンジヨオブツ
     今の蛇身を祈る上は
〔数珠、止む。〕
〽何の恨みかありあけの
    [やぶちゃん注:「※」=「牟」+「含」。]

ワキ
〽つきがねこそ
【撞鐘頭】〔「つ」に合わせて太鼓が打ち出す。〕

   ❀

〔一同、数珠を揉みつつ、鐘へ近づく。鐘、僅かに舞台から浮き上がり、ゆっくりと回転する。〕
〔地謠〕〽すはすは動くぞ
     祈れただ
     すはすは動くぞ
     祈れただ
     引けや手ん
〔一同、数珠を揉みつつ、鐘より後退。〕
    〽千手の陀羅尼
     不動の慈救じくの偈
     明王の火焰の
     黑烟くろけむりを立ててぞ
     祈りける
〔一同、数珠を揉みつつ、鐘へ寄り付く。〕
    〽祈り祈られ
     撞かねどこの鐘
     響き出で
〔鐘内から銅鈸(どうばち:仏家で用いるシンバル様の摺り鉦。)の音。〕
    〽引かねどこの鐘
〔一同、脇座へ。〕
    〽躍るとぞ見えし
〔鐘、左右に揺れて。〕
    〽程なく鐘樓しゆろお
     引き上げたり
〔鐘、高く引き上げられる。〕
    〽あれ見よ蛇體は
     あらはれたり
〔鐘内より、膝を突いて打杖を持った後ジテ蛇体、出現。その演出は流派によって様態は様々である。〕

   ❀

〔蛇体、打杖を左右に激しく打ち振って僧達を脇座へ追い詰め、打杖を振り上げる。〕
〔【鱗落トシ】蛇体、祈りに押さえ込まれるかのように、橋ガカリに退く。その引きずる唐織の端を後見が押さえ、装束が二等辺三角形の鱗の形になった時、蛇体、装束を捨てる。〕
〔【柱巻キ】蛇体、揚幕まで逃げる。ワキ僧、追う。蛇体、反撃して押し返す。シテ柱(橋ガカリの最も右、本舞台の接合点に立つ柱)の左手をかけ、蛇体をきりきりと柱に巻きつけて打杖を振り上げる。〕
〔蛇体、再び僧達を脇座に追い詰め、身を翻して鐘に飛びつかんとするが、僧達の激しく揉み絞る数珠攻めによって遂に舞台に膝を突いて、屈服する。〕

〔最後の一進一退が演じられる。〕
【祈リ】
〔地謠〕〽謹請東方青龍淸淨きんぜいとうぼおしよおりようしおうじよお
     謹請西方白帝白龍きんぜいさいほおびやくたいびやくりう
     謹請中央黄體黄龍きんぜいちうおおおおたいおおりう
     一大三千大千世界いちだいさんぜんだいせんせいかい
     恆沙ごおじやの龍王哀愍納受あいみんのおじゆ
     哀愍自謹あいみんじきんみぎんなれば
〔蛇体、ワキを追ってタタラを踏んで舞台を荒れ狂う。〕
    〽いづくに大蛇のあるべきぞと
〔蛇体、祈りに退く。〕
    〽祈り祈られかつぱとまろぶが
〔蛇体、数珠に打ち据えられ、常座に力尽きる。〕
    〽また起き上がつてたちまちに
〔蛇体、立って飛び返って膝を突く。〕
    〽鐘に向つてつく息は
〔蛇体、去りがてに橋ガガリ一ノ松で振り返り、きっと鐘を見上げる。〕
    〽猛火みよおかとなつてその身を燒く
     ひたかの川波
     深淵しんねんに飛んでぞ入りにける
〔蛇体、一散に橋ガガリを走り抜け、日高川の深き淵へと身を投げ、消えてゆく――〕

   ❀

〔ワキ僧、常座(本舞台の十時半位置)に出て扇を広げる。〕
〔地謠〕〽望足りぬと驗者げんじやたちは
     わが本坊にぞ歸りける
     わが本坊にぞ歸りける
〔ワキ僧、扇を撥ね掲げ、会心の意を表して脇正面を向き、留拍子を打って退場。続いてワキツレ、退場。〕

   ❀   ❀   ❀

〔狂言方後見、鐘を静かに下ろし、橋ガカリから運び去る。〕
〔囃方、地謠、退場。〕


❀ 能 道成寺 ❀ 完 ❀