萩原朔太郎筆(津久井幸子氏蔵)

 我れは   朔

 もと

 虚無の鴉

[やぶちゃん注:昭和9(1934)年6月刊の詩集「氷島」中の「虚無の鴉」の冒頭句(以下、底本は昭和51(1976)年筑摩書房版全集を用いた)。

  虚無の鴉

我れはもと虚無の鴉
かの高き冬至の屋根に口を開けて
風見の如くに咆號せむ。
季節に認識ありやなしや
我れの持たざるものは一切なり。

朔太郎の色紙で絵のあるものは珍しいとされるが、この「虚無の鴉」で他にも同じ図柄の色紙があり、この絵は彼の好みであったあったことが知れる。]


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