芥川龍之介筆(芥川比呂志氏蔵 画帖に記された遺墨)
木の 龍之介
枝の瓦
にさはる
暑さ哉
[やぶちゃん注:これは昭和35(1960)年中央公論社より刊行された小穴隆一「芥川龍之介遺墨」に句帖6として所収するものの、3句めの句である。当該句帖を小穴隆一「芥川龍之介遺墨」の画像をもとに以下にテクスト化しておく。
元日や
手を洗ひ
をる
夕こころ
龍之介
草の家
の柱半
はに 龍之介
春日かな
木の 龍之介
枝の瓦
にさはる
暑さ哉
秋の日や
竹の實たるゝ
垣の外
澄江堂
初霜
や薮にと
なれる 龍之介
住みこころ
の6句を記す。これらの句の創作時期は書簡等から類推すると、それぞれ
「元日や手を洗ひを夕こころ」 大正10(1921)年12月
「草の家の柱半ばに春日かな」 大正11(1922)年前後
「木の枝の瓦にさはる暑さ哉」 大正11(1922)年7月
「秋の日や竹の實たるゝ垣の外」 大正9(1920)年
「初霜や薮にとなれる住みこころ」 大正11(1922)年11月末
となり、本句帖への揮毫は大正11(1922)年12月以降のことと思われる。]
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